初著書出版のご案内

初の著書『ホーム・スウィート・ホーム』(工作舎)を、本名の杉本彩子(さいこ)名義で出版します。
面白い暮らしぶりを実践しているお宅を取材し、俯瞰図で紹介しながら住民の生き方を掘り下げていくルポルタージュです。

構想を思い立ったのが10年前。
拙宅を皮切りに、友人知人の家の俯瞰図を描かせていただいたのが始まりです。
その後仕事が忙しくなって中断していたのですが、3年前あるきっかけで再度取り組み始め、出版が決まってからはあちこち取材に回り、この夏以降は一心不乱に色を塗っておりました。

イラストはコピックマーカーのアナログ塗りで400点以上掲載。オールカラー248ページ全編、書き下ろし&描き下ろしで、文章もこってり書いています。
うなぎの寝所のように長い京風町家は8面両観音ページで紹介し、同じ家のbefore & afterも同位置に配置して、ページをめくって見比べられるようにするなど、手元に置いておきたくなる紙の本の魅力にこだわって制作しました。

その本が年の瀬も押し迫った1227日に刊行します。
書店に出回るのは1月半ばで、1月下旬には原画展も開催します。
書店で見かけたら覗いてみてください。よろしくお願いいたします!

『しぜん ⎯ キンダーブック』21年11月号の立体イラストメイキング

早いもので、もう11月中旬。
前の投稿が5月17日なので、気がつけば半年も更新を怠ってしまいました。
久々にメイキングを描こうと思います。
今回は『しぜん ⎯ キンダーブック』11月号です。

いつも楽しいお題を下さる『キンダーブック』シリーズですが『しぜん』は初めて。
こちらは『キンダーブック』の自然科学系部門の絵本雑誌で、
今回のご依頼は重力を説明するページの立体イラスト。
丸い地球の上下左右に子どもたちがくっついている立体を作って欲しいとのことです。

これ、一回やってみたかったんです。

というのも私、「water field colore child」と名付けた世界の民族衣装の人形を
何年も前からコツコツ作ってまして、まだ全部出来ていないのですが、
7年前にとりあえず一度展示した時はこんな風に飾ってみました。


写真じゃわかりにくいけど、ちょうどギャラリーの壁に窓状の穴があったので、
そこに埋め込む形で同サイズの箱を作って埋め込み、
せっかくだからカーテンも作ったりして、劇場仕立てにしたのです。

これはこれで面白い趣向でしたが、難点が一つ。
せっかく作った後ろ姿が見えないのです。
民族衣装だけに、背中もいろいろ凝っていて、細かい模様をちまちま描いたのに。

それにメルカトル図法の地図、これも好きだけど、やっぱり上下の間延びが気になります。
ロシア、デカすぎる…。グリーンランドも誰もいないのにデカすぎる…。
最近じゃアメリカで地球平面説の陰謀論も流行っているとかなんとか。。
いやいや地球は丸いんです。

だから、次に展示するときには、まあるい地球の上下左右にこの子たちをぷすぷす刺して
展示したいなーって思っておりました。

まあでもこの子たちの制作はここ数年サボっていて一向に増えないので
まだまだ先だにゃ〜死ぬまでにできるかにゃ〜、、、なんて緩みきっていたところ、
お題の方が仕事で先に来てしまった!

ということで、これは展示の予行演習だと思い、楽しく制作に励みました。


さて前置きが長くなってしまいましたが、ここからが今回のメイキングです。
この本では一つのアングルしか写真を使わないので半球で良いだろうと見込んだのですが
そうなると五大陸の全ては入らないわけで、さてどうしよう。
地球をどこで真っ二つにスカポンするか…。

打ち合わせでは、日本の位置が左上にくるとわかりやすいかもですねー、
なんて話になったのでぐるぐるぐるぐる地球儀を回しながら考えて、
最初に決めたアングルはこの位置でした。

わかりやすい様に、半分で切る位置に黄色いゴムを巻いています。
北極が左に来て、地中海を中心に据えたこの位置だと、
端っこすぎて見えないけれど、一応日本が左上の黄色いゴムのところにあり、
他のあらゆる人種の子たちも周囲に配置できるかな、と思ったのです。

で、ラフを作成しました。

りんごの木がある場所が、ユーラシア大陸の向こうの海に浮かぶ日本。
木の左のオレンジのパーカーを着てる子が日本の女の子で、
時計回りに、タイの女の子、南アフリカの男の子、大西洋に浮かぶタンカー、
南米大陸にはブラジルの女の子と男の子、
北米大陸にはアメリカの男の子、ワンちゃん、カナダの女の子、
再びユーラシア大陸に戻って、ロシアの男の子、と並べてみたのです。

でもこのラフの地球、ちょっと嘘をついています。
上の地球儀と比べるとわかりますが、アメリカ大陸が入る様にググッと寄せています。
意図的というより、丸いものを見ながら描くと、目では見えているものだから、
アメリカ大陸を入れたい気持ちが先走ったか、ついつい入れ込んでしまった感じです。

ちなみにアフリカ大陸がググーッとインド洋の方に寄っちゃっているのは
デッサン力の無さというか、歪んでしまっただけです、はい。
でもまあ、それほど不自然にも感じなかったので、これで良いかと。

というわけで、子どもたちは気楽にサクサク作りました。
べっこう飴状態の世界の子たち、かわいい。


さて問題は地球の方で、
東急ハンズで買って来た半球のスチロールに下地を塗ってザクっと描いてみました。
するとやっぱりラフの地球がおかしいので、なかなか辻褄が合わない…。

ラフではインド洋が狭すぎたのでもっと拡げて、
じゃあタンカーは大西洋上じゃなくてインド洋上の方がバランス良いかもと、
南アフリカの男の子と位置を入れ替えたり。

これであっている…? アメリカ大陸見えないよね…。

四角い画面から四角い画面へ模写するのは慣れていても
球体から半球体に模写するのって、意外とムズカスィ。

目だけで追ってると、どうしてもズレるので、
塗った地球をスマホで撮っては、地球儀の画像とphotoshopで重ねてみる。
するとアフリカやヨーロッパが大きすぎて大西洋にズレ込んでいることに気づきます。
ヨーロッパってたくさんの国があるから広い印象なのですが、
実は狭いところに小さな国が密集してるだけなんですよね。。

これを見ながら修正し、また撮影して重ねてみる、というのを繰り返し、
少しづつ、ズレを正していきました。

中途半端に文明の利器を利用しつつも、至ってアナログな努力の結果、
アフリカ大陸がズズズと地殻変動→移動の末、
あるべき地球の姿に近づいてきたの、ですが…、

うーん…。
アメリカ大陸、一応描いているのだけど、端っこすぎて見えません。
みんな、海に浮いているみたい。
日本の女の子も、これじゃあ大陸にいるみたい…。

これでは子どもたちのお国柄がわからないし、
そもそもこの地球、なんかしっくりこないんですよね。。


ここで編集さんに画像を送って、ちょっと相談してみました。
すると編集さんもおうちでぐるぐるぐるぐる地球儀を回し悩んでくださって
送ってくれた画像がこちらです。

おお!これは、おなじみのユーラシア大陸
そう。日本を左上にっていうのにこだわっていたのがいけなかった。

「慣れ」っていうのは侮れないものです。
やはりいつも見慣れている「北半球が上」の姿じゃないと、地球と認識しないのか?

更に私たち東洋人にとって見慣れたユーラシア大陸が真ん中にあると、
それだけでなんともしっくりくる。
これがヨーロッパやアメリカの絵本であったら、 また別のアングルになるのでしょうね。


とは言え、子どもたちはラフで設定したお国柄設定で、すでに作ってしまっている。
どうしたものか。

編集さんの地球儀画像を元に、 またphotoshopであれこれと配置を考え直してみました。

これでどうだ!

このアングルだと、日本はギリギリ右上に目視出来ます。

タイ人の女の子はフィリピンより向こう、ミクロネシアのグアム島あたりまで行っていますが、
まあ、南国っぽい服装なのでOK。

アメリカ大陸はぐるっと後ろに隠れてしまったのでどうしましょう。
アメリカの男の子、ヒップホップなファッションなのだけどな〜。
ふと思いついて「オーストラリア ヒップホップ」で検索してみると、
「“オーストラリア・ヒップホップ”がなかなかアツい!」と紹介されているサイトを発見。
よっしゃーこれだ!シドニーに移住!

カナダ人の女の子も、昔私が短期ホームステイしたオーストラリア西海岸の
パースの家の娘さんキャサリンに似てるからパースに移住!(こじつけ)

タンカーはやはりインド洋を悠々と航海し続けて。

南アフリカはギリギリ入っているのでこのままでOK。

ブラジルでサンバを踊っていた子の女の子はぁぁぁ、え〜っとぉぉぉ、
あ、いたいた!4年前に行ったモロッコのジャジューカ村に!
こんなファッションのベルベル人の女の子がいましたよ!
ってことで北アフリカに移住です。(苦し紛れ)
サンバじゃなくてジャジューカミュージックでトランスしましょう。

ブラジルで盛んなサッカーは、ヨーロッパでも負けず劣らず盛んですよね。
はい、サッカー留学で欧州へ!

カナダの女の子が飼っていたワンちゃんは、ロシアの男の子にプレゼント!

で、ほらっ。どうです?
バッチリじゃないですか!

という…、なんともアクロバティックな民族大移動の末、
構図の変更が完成したのでした。



ということで気を取り直して、地球の大陸を描き換えていたところ、
またまた事件が起こってしまいました。

下地が剥けたんです。
ぺローンと。
本当に綺麗に。

本当はその衝撃画像を皆さんに披露したかったのですが、
あまりに衝撃的すぎて写真を撮る余裕もありませんでした。
あーでもないこーでもないと大陸移動をした、あの努力はどこへ…?

犯人はコイツです。

これマヨネーズ状の粘土です。
ジオラマ作る時の壁材とかに手っ取り早く使えるんで重宝してました。
しかし、そういうおためごかしの類いには、あつらえ向きなのだけれども、
絵の支持体として使う様な気骨のあるタフガイではなかった。
たぶん成分的には木工用ボンドみたいなもので、
気は良いから飲み会の穴埋め要員にはもってこいだけど、
所詮ペラペラしたチャラいヤツ、いざというところで頼っちゃいけない方でした。

いや、絵と言っても「ただ地球描くだけだしー!」と
タカをくくって支持体を舐めていた私が悪かった。。

ということで、綺麗さっぱり生まれたままの姿に戻ったスチロールを前にして、
私も生まれたままの初々しい心に戻ったのでした。

で、この方の登場。

ジェッソさま。

決して派手ではないけれど高倉健の様に黙々としかるべきことはやる男。
コイツをを5回くらい塗って、それでもスチロールの凹凸が隠れないので、
石塑粘土で覆って、やすりがけして、、粉吸いまくり、またジェッソを塗りまして…、

やっと綺麗な丸になりました!

初々しい…。
何か生まれそうな、そこはかとなく有機的な、卵みたいに神聖なお姿。

そして私もアホですが、アホアホなりに体を張って学ぶので、
前回の失敗を省みて今度はちゃんと鉛筆で陸地のアタリをつけました。
いや、基本ですよね。。。

ユーラシア大陸!


今度こそ間違いない!
さて塗るぞ!

流石にジェッソ様と石塑粘土様の下地は堅牢で、塗りやすいのなんの。
アタリをつけたおかげで迷いもなく、あっという間に完成したのでした!

かわいい坊の竹串を刺したい。
さしたい。
サしてみたい…。
はやる気持ちを抑え、撮影に向けて厳かに梱包します。



そして撮影日当日⎯⎯⎯⎯

一度刺したら地球に穴が空いてしまうので、
まずは子どもたちを周囲に並べるだけのバージョンを。
とりあえず白い紙に置いてみました。

影が落ちる…。

あたりまえですね。
これでは半球であることがバレバレです。
もちろんこれで撮影して、後で切り抜いて合成するという手もあるのですが、
それはあくまで “おさえ” として、なんせプロのカメラマンさんですから、
影なしで撮影する方法も華麗に披露してくださったのです。

ガラスーーー!!
 
しかも、下の紙に光を反射させることで、紙自体が発光して遠い影も落ちない。
その上で、オブジェも逆光にならないためのあれやこれや、超絶照明テクを施して下さった。
その結果は…、

素晴らしい!!

でもこちらは白バックなので合成用のおさえです。

今度は合成ではなくて、青い紙(宇宙)をバックに直撮りバージョンに挑戦!

スタジオには様々なストックがありますが、グラデーションの入った良い感じの青い紙があり、
これをバックに撮ると…、

おおお〜〜〜!

深遠な宇宙を思わせる透明感!
最高です!

更に。
最後には待ちに待った串刺しバージョンです。

ファインダー越しに覗いているカメラマンさんにチェックして頂きながら
「この辺ですか〜?」といちいち確認しつつ慎重に刺していきました。

真横から見ると、タンカーなんか、結構上の方に刺してますでしょ。
マダガスカルからオーストラリアに向かって悠々と悠々と航海しています。



では出来上がった画像をご覧ください!


ジャーン!

最高!!!!

やっぱり周囲にぐるっと置かれているより、人形が多少上下している方が
動きが出て一気に豊かな雰囲気になりますね。
これは刺してみないと本当にわからなかった。


ちきゅうに ひっぱられたから!
うん。ひっぱられてる、ひっぱられてる!

あ、結局カナダからオーストラリアのパースへ移住したキャサリンは、今はデンマーク在住です。
よく見たら服のデザインも北欧っぽいじゃないですか。
それに欧州にサッカー留学した彼は、今はスペインで活躍してるみたいですね!

誌面右下に囲み記事が入るので全体的なバランスを考えて、右側の人数を減らしたのです。
この様に、打ち合わせ、制作中、撮影中、皆さんと相談しながら、
臨機応変にちょこちょこ変更したりして、より良き誌面を目指して作ってます。

ちなみにこの囲みの中の「たいよう」「ちきゅう」「つき」の絵も描きました。
他のページには、動力の説明図や、アルキメデス、ガリレオ・ガリレイ、ニュートンなど
歴史上の人物の絵なんかも描いています。
子どもの頃、理科は一番苦手な科目だったので「アルキメデスのげんり」って何だっけ??
読んでもいまいち理解できない…(汗)、などと、頭をひねりながらたくさん描きました。

でもやっぱりこの立体イラストのページが一番好きだし、わかりやすい!

子どもたちの記憶の片隅に「万有引力といえばアレ」なんて
大人になってもこの立体の残像が、残ってくれたら嬉しいなぁ。

細野晴臣さんと笑福亭鶴瓶さん人形

ずっと、ブログを書きたいな、と思っていたものの、今年に入ってから息つく暇もなく。
ようやく少し落ち着いたので、お年賀以降の初投稿します。

まずは、お馴染みの『AERA』にて、21年2月22日号から4回、
細野晴臣さんと笑福亭鶴瓶さんの往復書簡の短期連載があり、
お二人の人形を作らせて頂きました。

普段、あまり好きではない政治家ばかり作っているので
好きな著名人を作れるのは嬉しいですね。


※原稿部分は著作権保護のためにぼかしています。

とはいえ、ファンの多いお二方なので緊張しました。
鶴瓶さんはキャラ化しやすいかと思いきや、立体だとそう簡単にはいきません。
スキンヘッドに近いスタイルの方は、頭の形一つで印象が変わってしまうのです。

この号に続いて4号続いて掲載されたのですが、
せっかく立体なので右向いたり左向いたり、いろんなアングルで撮影して頂きまして、
それがほぼ初対面のお二人の、かみ合う様なかみ合わない様な、
ちょっとくすぐったいやりとりにマッチしている感じがして、なんとも嬉しかったです。

濃厚な人生経験を重ねられたお二人の言葉はハッとすることばかりで、
こんな時代を生きていくヒントが散りばめられておりました。
どんどん盛り上がってきた…!というところで連載が終わってしまったので、
この続きをまたどこかで拝読できたらなぁ…と、切望しております。

『おしごと年鑑2020』ブックオフ俯瞰図/朝日新聞

『おしごと年鑑2020』(朝日新聞)にブックオフの俯瞰図掲載

おしごと年鑑2020』(朝日新聞)にてブックオフの俯瞰図を描かせて頂きました。

かなり分厚い、こんな本です。

パラパラ見てると大人でも面白い。
お皿の絵付けから、商社の仕事まで、知らないことばかり。
色恋沙汰より将来の夢とか仕事とかそんなことばかりに興味があった小中学校時代、社会の仕組みが知れるこういう本が大好きでした。

『おしごと年鑑2020』ブックオフ俯瞰図/朝日新聞
小さめのカットですが、28人詰め込みました!

誌面はこんな感じ。

子どもさんに仕事のことを語る時、ついつい現実的なことも語ってしまい、夢を壊してしまったかな〜なんて思うこともありますが、子どもたちにとっては社会に一歩一歩根ざしていく知識や体験の積み重ねの方が、ふわふわした夢の世界よりもワクワクするものかな、と。少なくとも自分の子ども時代を振り返るとそうだった。
大人の世界のシュミレーションであるおままごとは、いつの時代も子どもたちにとっての楽しい遊びの定番ですしね!

『AERA』20年6月1日号A/朝日新聞出版

『AERA』6月1日号 コロナ鬱人形作りました

ブログ、しばらくサボっていましたが、コロナ中もお仕事してました。
こちらは『AERA』6月1日号で作ったコロナ鬱人形です。マスクは着脱式です。
5ページ目の、慣れないリモートワークに喘ぐ男性のカットがお気に入りです。

『AERA』20年6月1日号A/朝日新聞出版 『AERA』20年6月1日号B/朝日新聞出版 『AERA』20年6月1日号C/朝日新聞出版

大なり小なり、多くの方があらゆるストレスを抱えているコロナ禍ですが、どうぞ皆様、無理をせず自分を大事にしてくださいね。

ところで、この一ヶ月くらい、ひたすら片付けをしてました。
その際、過去5年分くらいの『AERA』をザザーっと一気読みしたのですが、どの記事も少しも古びず興味深かったので、結構真剣に読んでしまいました。

コロナ禍で、政治の問題、排他的な差別、グローバリズムの弊害や自然破壊など、様々な問題が浮き彫りになりましたが、どれもこれも今に始まった話でなく、ここ数年で積もりに積もった問題が、コロナを機に一気に噴き出したという印象だったから、全てがリアルタイムに感じたのかもしれません。

考えてみれば個人的にも、掲載誌や制作物を片付ける暇がなく、ここ数年分のものが溜まりまくっておりました。気持ちを一新するために、日々片付けにいそしんでいます。

最近もレバノンや香港など、衝撃的なニュースがたくさんありますが、時代を見つめながらも惑わされず、自分のやるべきことをして行きたいと思っています。

ポスッとコロぶ旅 その2 イポー(前編)


2020年2月6日、世界はコロナウィルスへの不安に包まれていた。
今まで買ったこともない類の衛生用品を詰め込んで飛行機に乗りこんだものの、機内トイレの蛇口のボタンがわからず手洗いを出来なかったのが気になっていたわたしは、空港に着くや否やトイレに駆け込んだ。そうして悠長に歯磨き、手洗い、洗顔をしてからイミグレーションにたどり着くと、長蛇の列ができていた。

結局1時間も並んだ末にようやく入国、慌てて荷物をとり、スマホのSIMを入れ替え、両替を済ませ、バス乗り場に走ったものの乗り場がわからない。
そこら辺にいるおっさんに手当たり次第に「イポー?イポー?」と聞き散らかして、示された方向に走っていくと「TO IPOH」と書かれたバスが悠然と目の前を走り去っていった。
わたしは<イポー…!>とかすれた声をあげながら、力なく虚空に手をふってバスを見送ったのだった。

時間も入念に下調べし、到着から2時間以上も余裕があったのに、まさか間に合わないとは…。
やっと見つけたチケットカウンターのおばちゃんに聞くと、次のバスは2時間15分後とのことで、途方にくれる。
「旅にトラブルはつきもの。いや、これくらいのトラブルで済んで良かった」と思い直し、綺麗なカフェでマレーシアの朝ごはんを楽しむことにした。

トラディショナルブレックファーストとやらには、トーストの横に卵が2つ添えられていた。
高床式のマレーの家の傍で小刻みにリズムを踏むにわとりを想像し、ほのぼのとした気持ちで割った卵は、ゆで卵ではなく生に近い半熟卵で意表を突かれる。 「半熟卵を食べるのは日本人だけだ。それほどに日本の衛生管理能力はすごいのだ」と、先日友人から聞いて感心したばかりだったので、なんだ、あれも昨今流行りの「ニホンスゴイ」のガセネタだったのかと思いつつ、どうしたら良いのかわからないので、殻の割れ目に口をつけて2つともチューチュー吸いつくす。
本当はパンにかけて食べるものだと知ったのは、だいぶ後のことだった。



バスのリクライニングは快適で、延々と続く椰子の木を横目に眺めながら仮眠をとり、予定より2時間以上遅れてたどり着いたイポーで暖かく迎えてくれたのは、ガイドのチョン夫妻だった。
旅行一週間前、イポー行きの鉄道予約が埋まってしまい日帰りツアーを探していたところ、ネットで見つけた個人のガイドさんである。交通手段も含め相談してみたところ、日程を少し変えれば空港からバスで行けることがわかり、現地での運転や通訳もしてもらえると言うのでお願いしたのだった。
妻のアスカさんは日本人で、ご両親がマレーシアに移住していた関係でチョンさんと知り合い、結婚されたのだ。 彼女は事前に聞いていたわたしの要望を具現化した完璧なプランを立ててくれていたのだけど、大幅な遅れにも柔軟に対応して下さり、まずはバスターミナルから一番近い洞窟寺院に行こうと提案してくれた。

イポーはマレーシアの西側、ペナンとクアラルンプールのちょうど真ん中くらいにある、マレーシアで三番目に大きな都市だ。けれどガイドブックの情報は非常に少ない。
19世紀の末頃、缶詰めなどブリキ需要の拡大で錫鉱山が興盛し、中国南部からたくさんの労働者が移住してきたらしく、中国系の住民が多い。1970年代に錫鉱山が閉山されるまでは、とても賑わっていたそうだ。
今は、ゆったりとした空気が流れる静かな街だけど、引退後の移住地として日本人に人気で、アスカさんのご両親もそんな経緯で移住してきたらしい。
石灰岩の多いカルスト地形で鍾乳洞が多く、その洞窟を利用して建てられた仏教寺院もたくさんある。イポーで主に回りたかったのは、そんな洞窟寺院だった。


ペラットン洞窟寺院(霹靂洞/Perak Tong Temple)は1926年建立の歴史ある寺院だ。
「ペラッ」の漢字表記は「晴天の霹靂」の「霹靂<へきれき>」なのか、かっこいいな〜と思ってふと気になった。
もしかしたらイポーが所在するペラ州の「ペラ」も? と思って中国語表記を調べてみたら、やっぱり同じ漢字で「霹靂州」だった。「雷が轟く州」とは、イカした地名ではないか。
鍾乳洞に入るとド派手な黄金の仏像が鎮座、その周りの壁面にも龍やら観音様がのたくっている。千手観音の周りには飛天が舞い、とぼけた虎の造形物もある。ヘキレキ感満載で俄然気分が上がる。

洞窟内の階段はそのまま外の石灰岩の岩肌に続いている。急斜面に蛇行した階段を登って行くのは軽い登山の趣きで、なかなかきつい。
すでに時計は15時を回っていてお昼も食べていないけど、それは付き合ってくれているチョン夫妻も同じこと。のっけからアクセル全開の展開に多少のハイになっていて、息を切らして笑いながらも、屁っぴり腰で登っていく。

頂上に辿りつくと、いきなり視界が開けて息を飲んだ。イポーの街の隅々までもが見渡せた。
民俗学者の宮本常一が父親に言われたという「村でも町でも新しくたずねていったところはかならず高いところへ上ってみよ」という言葉を思い出した。意図したわけでもないのにその通りになっているのが嬉しくて、自然と顔がほころんだ。
高いところは大好きだ。 街を囲む様に、石灰岩の小高い丘が林立している特異な風景は、カルスト地形特有のものだと素人目にもわかる。

それにしても、かなりハンディサイズとはいえこの山水画的岩山の醸し出す悠久の歴史感と、手前に広がる工場の高度経済成長期的ノスタルジーのミスマッチがたまらない。熱帯のマレーシアで、こんな風景はまるで想像していなかった。
「あれはセメント工場です」とチョンさんが流暢な日本語で説明してくれた。
錫鉱山が下火になってからも、やはり第一次産業が主流なのだろうか。いずれにしても、イポーの豊富な錫資源は、この石灰岩と東側にそびえるティティワンサ山脈麓の花崗岩との接点に多く見出されたらしいから、この特異な自然が街を大きく発展させたとも言えるわけで、この街の栄枯盛衰が一望できるかの様な風景には、何かこみ上げてくるものがあった。

一方で市街地を眺めると長屋の様に繋がった赤い屋根が目に入る。
「あれはショップハウスですか?」
「そうです」
『マレーシア ペナン エキゾチックな港町めぐり⎯⎯』(イカロス出版)によると<ショップハウスとは一般的に、複数の家がひと続きになった、2階建ての長屋形式の建物を指す。中国の華南地方にルーツを持つ民家のスタイルといわれ、マレーシアをはじめ東南アジア各地に移民として渡った、主に福建、広東、潮州などの地域の出身者によって伝わった>とある。
マラッカやペナンでたくさん目にするだろうと思っていたけれど、イポーもショップハウスの街なのか。色も大きさも統一されていて美しい。 マレーシアで三番目に大きな都市が、こんな丘から一望できるコンパクトな街とは思っていなかった。
イポーの今年の人口は81万4千人、日本の田舎と違って人はどんどん増え続けている様だけど、わたしの住む練馬区は72万人で面積は1/13なのだから、そりゃ清々しくも感じるはずだ。引退後の移住地に人気なのが、わかる様な気がしてきた。

市内に戻って名物のモヤシとチキンを食べた。石灰岩によって水が綺麗なイポーでは美味しいモヤシが育つらしい。
ケロットン洞窟寺院(極楽洞/Kek Look Tong Temple)という比較的新しい寺院で庭園を散歩したり、その近所でポメロというブンタンみたいに大きな柑橘類を味見したり、コロニアル建築が美しいイポー鉄道駅を見学したりしてから旧市街に繰り出すと、既に17時をまわっていてお店はだいたい閉まっていた。

カフェで名物のホワイトコーヒーを飲む。いつも砂糖は入れない派だけど、寝不足で動き回って疲れた体には、この甘さが身に沁みる。 早めの夕飯に、肉骨茶(バクテー)も初体験。薬味っぽい味は好きな方で、スープが染み込んだ湯葉も歯ざわりが良く美味しい。盛りだくさんである。



この日泊めてもらう予定のガイドさんの別宅へ寄ってからは温泉へも行った。
と言っても、スパリゾートハワイアンズみたいなテーマパークで、その名も「LOST WORLD」。恐竜と関係があるのかないのか謎だけど、「失われた世界」というネーミングにはグッとくる。 プールの様だけどちゃんとした温泉で、滝や洞窟の造形物で趣向が凝らされている。作り物と知りつつも、洞窟の中に入って立ちこめる湯気にまみれると幻想的な気分になる。

鉱物に恵まれ、水が綺麗で、温泉も湧き出る、なんて豊かな土地なのだろう。 チョンさんが子どもの頃は、ここら辺一帯は普通の川で、和歌山県の川湯温泉の様に暖かい湯が湧き出ていて、もちろん無料でよく泳ぎに来たらしい。
もはやそんな景色の片鱗も想像できないけれど、それこそが「失われた世界」なのかもしれなくて、皮肉なネーミングに苦笑する。
盛りだくさんだった初日も暮れて、これで終わりかと思いきや、最後にとっておきの楽しみが待っていた。

イポー名物スノービール。要はシャリキンのビール版である。
カールスバーグを注文すると、キンキンに凍ったジョッキになみなみと注がれたビールが真っ白に泡立って、確かに雪の結晶みたいで綺麗だった。 待ってましたとばかりに乾いた喉に流しこむと、疲れた体の隅々にまで染み渡って最高だ。温泉上がりの夕涼み、露天でキンキンに冷えたビールだなんて、これ以上に幸せなことがあるだろうか。

つい1日前、ここに来る時の東京は真冬の冷え込みで、厚手のダウンジャケットを羽田空港に預けてきたのが嘘の様だった。
マレーシアの2月はちょうど雨季が終わった後で、1年で1番暑い時期らしいのだけど、夜は涼しく真夏の東京の熱帯夜に比べると断然過ごしやすい。 そういえば、夕涼みってこういうものだったよね…。
東京で夕涼みと思っていたアレは、もはや何も涼しくない。日本らしい情緒のある言葉だと思っていたけれど、いつの間にか東京の方が熱帯になってしまっていて、夕涼みなんてものはとっくの昔に失われてしまったのかもしれないな。



浅草のホッピー通りの様に、東京でも露天で飲める場所はある。でもそんな場所も最近は、観光客向けに開発した様なよそよそしさが拭えない。 ここは混雑もしていないけれど、寂しげでもない。
二階建てで統一されたショップハウスの連なりは威圧感がなく、空が広い。
電飾看板は控えめで闇をかき消すほどでもなく、目を楽しませてくれている。
建物のサイズも街の灯りも等身大で、とても人に優しいのだ。 程よい湿度を含んだ南国の夜空は、何色もの絵の具で描き出したかの様に豊かな黒だけど、水彩画の様に軽い。夜空に揺らめく電飾の下で、家族大勢で来ている人も、男二人で語り合っている人も、笑い、喋り、その話し声は夜風に舞い、一日の労はねぎらわれ、明日の為に消えていく。
24時をまわってもなお賑わい、それでも自棄酒の疲弊感や喧騒感など微塵も感じられはしない。生粋に地元の人たちが終電など気にせずに、ほろ酔い気分を冷ましながら歩いて家路につくのだろう。 すこし目頭があつくなる。

わたしは旅が好きだけど、今までどんなところを旅しても、どんなにその土地を気に入っても、そこに住みたいなてことは安易に考えない方だった。一介の旅行者がそんなことを考えるのは、住民に対して失礼とさえ思っていた。
それが、どうしたものか。おかしいな。 これは全て、通りすがりの旅行者が見た幻だけど、ここにいる誰もがみんな、ここに居ても良い存在として許されていて、肩の力を抜いている。老若男女、金があろうがなかろうが、生きていること、楽しむことに後ろめたさを感じないでいられるのだ。

いや、実際には多くの苦労もあるのだろう。しがらみもあるのだろう。そんなリテラシーを総動員させて甘い誘惑に抗ってみたけれど、子どもの頃に感じていた様な世界に対する信頼感が、失われた世界から立ち顕れて、優しい夜風とともにわたしを包むから。
イポー、ここって、住みたいかもしれない。 はじめてそんなことを考えてしまった。

大日本図書『たのしいせいかつ』しかけイラスト描きました

先日ご紹介した保健の教科書に続いてもう一つ。 同じ大日本図書さんの生活の教科書『たのしいせいかつ』「がくしゅうどうぐばこ③夜の 長さって どの くらいかな?」のイラストを担当させて頂きました。 こちらは小学2年生が使う教科書です。 イエーイ夜だ!目が覚めた!みたいな、すっかりダメ〜な大人になってしまった私からすると、もはや遠い過去の記憶なのですが、確かに7歳くらいの頃の「夜」って全く「未知」の世界だったんですよね。暗くて怖い。でも大人の秘密がいっぱい詰まってそうでどこか惹かれる魅惑の世界…。 このページではそんなドキドキの夜の世界を探検できるのです。 ページを開くとまずは昼の街角の絵が出てきます。 子どもたちにとっては見慣れたお馴染みの世界です。 右ページには懐中電灯…? これ、なんでしょうね?
イラストのおにいちゃんの様に、これをハサミで切り取って、 次のページを開くと、 あれれ? 真っ暗。。。 暗くて怖い未知の世界、、ィ夜! そこで、さっきの懐中電灯が登場です。 これを持って夜の街を探検してみよう! セロファンの下に挟むと…、 あ!公園に人がいる! 消防車も走ってる!夜の街もけっこう賑やかなんだ… 夜中なのに働いてる人もいる! おじさんたちが見回りしているね コンビニは24時間空いてるんだ!大変だなぁ… と、ここまで書いてたら脳内にある曲が浮かんできました。 夜が 夜に夜る夜 夜は夜を夜る夜と夜〜 夜は 夜を夜る夜 夜が夜に夜る夜の夜〜 「かっこいい男とかっこいい女」、横山剣さんと、今は亡き😢渚よう子さんの唄う名曲「夜のエアポケット」! そういえば、剣さんの初期の曲には「夜の境界線」「夜のヴィブラート」「アメ車と夜と本牧と」「薄幸!深夜妻」「真夜中のストレンジャー」などなど、やたらと夜の曲が多かった。 昭和に育った私にとっても、ィ夜は「かっこいい男とかっこいい女」が眩いネオンの街を闊歩するかっこいい世界!(ファンタジー)だったので、あの頃に感じていた「見ちゃいけないものを覗いて見る」よなドキドキ感を脳内で再生しながら描いてみました。 今の子にとってはもう少し、夜は身近な世界なのかもしれませんね。 でも「未知の世界」がいつでも日常のすぐ隣にあるって思う感覚、子どもにとって大切な気がするなぁ。 それにしても、こんな楽しいしかけページがあるなんて、今時の教科書ってなんて楽しいんだ!羨ましい。 最後に。 こちらがイラストの全貌です。 同じ街の一角ですが、昼と夜とではまるで別の世界。 でもよくよく探してみると、あのお兄さんもお姉さんも、あのおばさんもおじさんも、昼間に見た時とはまたちょっと違った姿で登場しているかもしれないですよ。  

大日本図書「たのしいほけん」3・4年/「たのしい保健」5・6年表紙イラスト掲載

来年度の小学校保健体育教科書の表紙イラストを担当させて頂きました。

「たのしいほけん」3・4年/「たのしい保健」5・6年(大日本図書)

初めての教科書のお仕事です。

3・4年は学校が舞台、5・6年は地域や家庭が舞台です。いろんな人との関わりの中で、めぐる季節の中で、すくすくと育つ子どもたちを元気いっぱいに描いてみました。あなたに似た子を見つけたかな?

俯瞰図の手法だと、特定の場所に限定されがちなのですが、編集者さんやデザイナーさんと推敲を重ね、なるべく幅広いシーンが描けるように構成を考えました。今まで描いた俯瞰図との一番の違いは、壁がないこと。壁を取っ払うことで格段に子どもたちの元気パワーが炸裂しました。


また、本文でも見開き5枚の俯瞰図を描いています。

3・4年「毎日の生活とけんこう」
3・4年「育ちゆく体とわたし」
5・6年「心の健康」
5・6年「けがの防止」
5・6年「病気の予防」

ページ上部の子どもたちを探しながらそれぞれのテーマについて考えていくページです。
私自身は教科書を使わない小学校に通っていましたし、今も子どもがいないので、子どもたちがこの教科書を使ってどんな風に学習してくれるのか、いまいち想像できないのですが、楽しみながら学んでくれると良いなぁ。

来年の4月、たくさんの子の手に渡るのが今から楽しみです。

ジフ&ドメスト こども食堂プロジェクト

おなじみの洗剤、ジフやドメストを購入すると、こども食堂への寄付になります。 こども食堂のサイト掲載中の立体イラスト、4人の子どもたちがプリントされた2本入りパッケージが対象商品です。 詳しくはこちらのサイトをご覧ください。 店頭でお見かけになりましたら、よろしくお願いいたします。 サミットさんの店頭 ツルハドラッグさんの店頭

企画【楽しい家シリーズ(仮名)】

一風変わったライフスタイルを実践しているお宅を取材して、俯瞰図に描いています。 [Uさん宅] こちらはグラフィックデザイナーさんと、ぬいぐるみデザイナーさんのご夫婦。中古マンションをリノベーションした三角定規みたいな間取り。工作室みたいなアトリエは、四方が囲まれていて集中力も高まる居心地の良い空間でした。 [Hさん宅] ラブドールと心中する勢いの一人暮らしのお兄さん。棚等もバーナーで焼きを入れたりタイルを貼ったり丹念に自作していて渾身の完成度でしたが、今年再訪したら1階部分まで増殖していてますます凄いことに…。本気度半端なく、描くのも一番大変でした。 [私の自宅] まずは自分んちから…と思って手始めに描きました。賃貸なんですけどちょっと変わった間取りで気に入ってます。二人で立体を作っていると、これでも窮屈だったりするのですけどね。。 他にも、造形家や漆作家、猫好きの方の家など3軒ほど描き上げています。
この取材を始めたきっかけは、自分自身、夫婦でものづくりをしているため、引っ越しの度に広めの一軒家を探すのに苦労してきた経緯があります。結婚後3回目の引越しでやっと落ち着いたものの、ものづくりが出来る賃貸物件は限られています。どこもかしこも似たような3LDKが溢れていて、暮らし方や生き方まで押し着せられているかの様な日本の住宅事情に辟易してきました。 住まいは生き方の形です。ものづくりに限らずとも、本当はもっとそれぞれのライフスタイルに見合ったバリエーションがあっても良いはずです。 自分らしいライフスタイルを実現している方たちの住まいを紹介することにより、日本の住宅事情をより豊かにしていければと思い、この取材を始めました。 実は取材済みなのに、未だ描けていないお宅もあるのですが、ここ数年忙しすぎて手をつけられずにおりました。一部のお宅にはテキストのライティングまで含めて完成しているのですが…。 最終的には書籍化を目指していますが、ここらでモチベーションを上げるためにも、どこかで連載出来ないかと。それで書店で雑誌を見たりしていたのですが、果たしてどんなジャンルの雑誌向きなのか…。 住宅やリノベーションの雑誌だと持ち家の方限定になってしまう。賃貸でも工夫されてる方の家も入れたい。 暮らしやライフスタイル雑誌だと割と女性向けが多いので[Hさん宅]の様なお宅は難しいのかもしれない。 アトリエだけに絞るなら、アート系の雑誌でもいけるかもしれない。 などなど。悩ましいのでとりあえずブログやSNSに書いてみました。 面白そうと思う方がいらっしゃいましたら、気軽にご連絡頂けると嬉しいです。 よろしくお願いいたします。