メイキング002~湯煙旅情編~

昨年、サーバの移転でブログ部分だけうっかり移転し忘れまして、5年分まるまる消えちゃったんです。
確かにどうあがいてもこちらのミスなのですが、それにしたって、同じ会社でちょっとランクの高いサーバに
変更し(てさしあげ)た!のに、「消えました」「無理です」と涼しげな声で言われたら、悔しいじゃないですか。
「たかだか5日ですよ!どっかにデータないんかい〜!」と言いたくなるのが人情で…。

ないんだそうです。

デジタルに情はありません。情はないけど霊魂はある…?
あの、例の、キャッシュっていう残像みたいな。あれ、なんなんですかね?
幸いネット上に、ほんの一部のキャッシュが残っていたのを友達が見つけてくれて、
だから、少しだけ、テキストデータを拾うことが出来たんです。Kさん、ありがとう!
その中から気に入っていた記事を再掲載しますね。
ネタは少し古いけど、2015年3月14日に書いたメイキングです。

ではどうぞ!


春近し!と思えど、なかなか暖かくならない3月って、
待ち遠しい分だけ、1月2月より余計に寒々しく感じませんか?

寒いです。温泉行きたいです。でも行けないです。
そんな私と同類の皆様に、目だけでも暖まって頂こうかということで、
先月(2015年2月)発売された『にっぽんの図鑑』温泉ジオラマのメイキング、いってみます。

まずはラフ。こんな感じ。
onsen_making01

そして立体が出来ました!
onsen_making02

って、すっ飛び過ぎ!何もメイキングになっていない!

いや良いんです。
今回は蝋流しのメイキングを書こうと思っているのです。
蝋を流すと、人形が動かなくなくなってしまうので、
この段階で、人形の向き等を編集さんに確認して頂きました。
赤い線は、本のノドの位置です。

しかし、お湯がないと見てるだけで寒々しいですね…。
onsen_making03
かわいそうなので、とっとと蝋を流しましょう。

まずはお湯の色を決めます。 こちらはテスト。
onsen_making04
奥にあるのは、川に使った蝋で、緑の絵の具を混ぜています。
温泉部分は、もう少し青っぽい方が良いので、青や緑の絵の具を調合して作ってみました。

ぽたっと蝋を落とさない様に、しっかりアルミフォイルでカバーして準備完了です! onsen_making05

こんな色に決めました。さー、流しますよ~。
onsen_making06

少ーしづつ、少ーしづつ、お湯が入ります。
onsen_making07
しかし、この黒々とした髪の毛は私じゃありません。
うちには蝋の魔術師がおりまして、私は信用されていないので、やらせてくれませんでした。

足湯状態。まだ寒々しい。。
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やっとお腹まで浸かって来た! ほっと一息♪
onsen_making09
良かったー。もう見てるだけでお腹こわしそうでしたよ。
しかし、指まで丁寧に作って全部隠れちゃうんだから、何やってんでしょうね。
もっと手の抜き方を憶えなければ。

ここらでちょっと様子見です。冷まして固めています。
onsen_making10

冷ますと白くなります。
固まる前の蝋の色も、透明感があって良いんですけどね~。

1時間程経過。
onsen_making11
どれどれ? と見ると、あれ…!?
さっきお腹まで浸かっていたのに、お湯が減っている!!
坊やの膝まで浸かっていたはずなのに!!

はぎゃ~~~!このはじっこ見て下さい!
こんなところまで、蝋が流れちまっている!!!!源泉状態!!!!
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この岩のどこかに1mm以下のミクロの穴があいていた様です…。 onsen_making13
蝋って固形なイメージがあるので、小さな穴なら大丈夫だろうとついタカをくくってしまうのですが
溶かした状態の蝋ってのは、意外に流動性が高くって、小さな穴でも入り込んでしまうのです。
しょうがないので、どこに穴があるのかも解らないけれど、入念に岩肌に粘土を足しました。

これでどうだっ!今度こそ逃さないぞ!
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しかしまた着色しなければ…。地道な作業です。

再着色を施して、いざっ! 再び流しますよー!
onsen_making15

またお腹が暖まってきました。
onsen_making16
ほっ。。
お腹が弱いので、ほんと見てるだけで、辛いんですよ。。

少しづつ白くなって固まってます。待ちの時間。
onsen_making18
周りにボタボタに垂れていますね。アルミカバーしていて良かった♪

今度は流れなかった!
onsen_making19
坊やは肩まで浸かって暖かそうです。 お二人さん、お待たせいたしました~。

これにて完成!!!

なのですが…、まだ何かもの足りなくないですか? いまいち暖かそうに感じないのは何故…??

そうだ! あれだ! 湯煙だ! やはりこれがなければ、温泉じゃないっ!

ということで…、 編集さんに相談したところ、ドライアイスを用意して下さいました。
料理の写真を撮影する時の手法で、鍋物なんかの撮影で大活躍するアレです。

ここからは、撮影スタジオにて。
砕いたドライアイスをザルに入れまして、シャッターを押す直前に素振りの様に動かします。
こちらは、編集さんがとても頑張って下さいました。
TS3W0397
こんな感じで、えいほっえいほっと。
ほっこりした湯煙がGET出来るまで、何回も何回も。
編集さん、本当にお疲れ様でした! ありがとうございました!

苦労の甲斐あって、完成! onsen_making21
この湯煙!ホッカホカです!暖かそうです!お父さんもご満悦!
あーー、今すぐ飛び込みたいっ!

ということで、皆様のご協力を経て、とても良い絵柄が完成しましたよ。感謝感謝。
正真正銘の源泉かけ流し天然温泉ですよ~!
この図鑑を親子で読んで、そうだ、こんな温泉に連れてってやろうか、なんて
どこかのご家庭でお父さんが思い立って、盛り上がってくれたら、もう最高ですね。

この温泉はですね、野趣溢れる川沿いの温泉というご依頼だったので、
ずっと前に友達と行った静岡の大瀧温泉を思い出して作りました。
あちらには滝もありましたけどね。
楽しかったな~。また行きたいな~。
ま、しばらくは、スーパー銭湯で我慢しますわっ。 保存

メイキング001〜立体戯画・安倍晋三首相編〜

さて、いろいろめんどくさいSEO対策等も完了し、やっとこさ落ち着いてブログが書ける様になりました。
これからは、古い作品も含めて、こちらでどんどん紹介していこうと思ってます。
どうぞよろしくお願いします。

では早速、ブログがなくなってた間にお知らせ出来なかったことを少々。
年始のAERAで、またこの人作ったんですよ!

じゃーん!
安倍首相
首も取り外し可能で動くんですヨ!だからちょっとうつむいたりも出来るんです。
この、どこ見て喋ってんだかわからない虚ろなアングルが、私のお気に入りです!
前に作ったのは、ニッコニコに9条壊してるバージョンで、
こちらも結構気に入ってるんですが、今回もかなり自信作なのです。

メモ程度に撮った写真があるので、軽くメイキングいってみますね。
特徴あるから簡単そうに思えるかもしれませんが、結構難しいんです、この方。
まぶたの厚いタレ目って、情に厚い好々爺っぽくなりがちなのですが、
そんな印象かけらもないですもんね。
豊麗線も特徴の一つですが、これも気をつけないと老け過ぎてしまいます。
あとアゴ、かなり首元につながってますが、これも爺さんの記号ですね。
うっかり気を抜くと、すぐ好々爺に。。

違う違う!と手探りでぐちょぐちょ捏ねてたら、あれ!?
abe-making01
これはどっちかというと、かの有名なK元首相じゃないですか!
違うんですよ!私は孫を作ってるんですよ!
やー、DNAって怖いですね。
  abe-making02
造形が出来ました。うん、イイ!と思う。
  abe-making03
濃いめの色で下地を塗っていきます。
後ろにあるのは死霊…、おっと資料の写真です。
ホワイトボード一面あべまみれ。大ファンみたいですね。。
  abe-making04
ボディの方も忘れずに。
これ作るにあたって、最近の演説動画を苦行の様に見まくって研究したんですが、
ボディアクションはいたって控えめなんですよね、この方。
手を動かしても、「小さく前ならえ」が上下するくらい、
それだとあまりにもサマにならないので、少し左右に拡げました。
  abe-making05
続いてあの大胆な眉毛を思いっきり描いてみます。これでググッと印象が近づきます。
白目と黒目の比率は重要です。
白目がちだとイッちゃってて怖い感じになりますが、
黒目がちは意志が読めなくて、ブラックホールに吸い込まれる様な怖さを醸し出します。
宇宙人グレイみたいな。この方は、確実に後者です。
お肌には、普段あんまり使わない緑の絵の具も入れてみました。

そして完成!じゃーん!
abe-making06
どうでしょう?似てますか?

ちなみに誌面ではこんな感じになりました。
撮影はお任せしていたので、刷り上がりを見て感動しました。
エンジのカーテンが、安倍劇場の末路を見事に予感させています。
『AERA』2016年1月18日号/朝日新聞出版  
さてさて、ブログ復活後のメイキング第一弾、いかがでしたでしょうか?
最近こんな風に、実在人物を作るお仕事が徐々に増えてきています。
不特定の人物を作るより難しいけれど、やりがいを感じているジャンルです。
しかしこのジャンル、似顔絵でもないし、なんと総称すればいいのだろう、、と、
ずっとモヤモヤしていたのですが、ここのところHPリニューアルにあたり、
色々キーワード検索をしていたら、海外の立体作家さんのサイトでこんな言葉を見つけました。

Clay Caricature

これだー!と思いました。自分なりに翻訳すると、

立体戯画

どうでしょう?かっこいい語感だと思いませんか?
新ジャンルの確立です!
紙媒体に限らず、報道番組なんかでも使えるんじゃないかしら。
皆様!その人の内面まで表現した奥深い立体戯画をお求めの際は、
是非ともkucciまでお申し付け下さい!

『プレNEOシリーズ せかいの図鑑』2016年 A/小学館

小学館『プレNEOシリーズ せかいの図鑑』本日発売です!

今回新たに制作したのは、左ページの上中央「ロシア」と下3つめの「インド」、右ページ上中央「ボリビア」です。皆さんはどの子が好きですか?

 

日本、中国、韓国、フィリピン、ブラジル、フランス、エジプト、このチョイス、何だと思います?今日本に在住されてる外国人の多い順なんだそうです。街で出会ったら、ここに載ってる挨拶を交わしてみたいですね!

 

積み木の組み方もデザインしました。左から、マサイ族、日本、スペイン、ペルー、ブータン、ロシア。ロシアの子が演奏しているのはバラライカという楽器です。

 
昨年9月、えらいことになっていた理由の大半はこれ。半年程経ってようやく発売となりました。昨年の『にっぽんの図鑑』に続き、今年はオリンピックに向けて『せかいの図鑑』です。
 
世界の民族衣装人形は、10年程前からライフワークとして少しづつ制作して来たものですが、今回初の書籍デビューとなりました。私にとっては「子どもたち」の晴れ舞台、嬉しい限りです。冒頭の見返しページ『せかいのふく』をドーンと飾っています。
そして今回のために制作した人形達は、目次後すぐの『「こんにちは」のあいさつ』ページと『うたで せかいが つながる』のページで使って頂いています。他に平面のイラストも載っています。
 
私が小さい頃に抱いた様な、イッツ・ア・スモールワールド的な世界観を、今時の子ども達が同じ様に抱けるのかどうか。
でも色とりどりのローカルな紋様やスタイルの衣装を纏った子どもたちが、それぞれに輝いて存在している世界は、多様な生き方が許容される世界の象徴で、私にとってはユートピア。世界のはじまりです。ピュアすぎるかな。
子どもたちの心に少しでも届きます様に。

小学館の特設サイト(表紙と裏表紙にも使って頂いています!)
 
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