『日経メディカル』17年9月号(日経BP社)の表紙で立体イラスト掲載して頂きました。
やたらと増える検査を少なくしていこうという特集で、
箱から溢れかえる検査機器10点程作りました。
レントゲン、心電図、MRI、遠心機、眼底カメラ、胃カメラ、
血液検査ビーカー、超音波エコー、マンモ、尿検査などなど。
検査機器をこれだけじっくり観察したのは初めてです!
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メイキング003〜立体イラスト・病院&介護大事典編〜
メイキングアーカイブPart.2です。 2011年3月31日に発売された『病院&介護大事典』(ダイヤモンド社)表紙立体についてのメイキングです。 こちらは、PC内にテキストデータ初稿と画像データが残っていたので、加筆再編集いたしました。 最初に書いたメイキングなので、わりと真っ当に書きました。 立体イラスト制作の流れが、非常に解りやすい記事になっています。 少し補足すると、制作時期は震災前、ブログを書いたのは震災後2011年4月7日です。 冒頭で触れている「蝋人形」というのは、松島の蝋人形館で被災、破損した人形修復業務に関わったことに関する言及です。
それではどうぞ!
さてさて、あまり蝋人形のことばっかり書いていると 何屋さんだかわからなくなってしまいますね。 本業の立体イラストに戻ります。
週刊ダイヤモンド特別編集「病院&介護大事典」書店で発売中!
表紙立体イラストを制作しました。 今回は、こちらのメイキングをご披露いたします。
基本、手のひらサイズ。
アーチスタフォルモという、天然の石から作った石塑粘土を使っています。
こねこねしてるうちに3〜6時間程でここら辺まで成形します。
いろんな型のヘラを使います。 頭に差している針金は首を支えるためのもので、
ずっと入れておくと錆びてしまうので、乾いて固定したあとはひっこ抜きます。
(これ、数日でも錆びるので最近は竹串を使っています)
一番良く使うヘラ。これがなければ廃業するしかない大事な大事なヘラ。
暑い季節、乾燥している季節、暖房をつけている季節は、乾きも早い。
梅雨時は一番乾きにくく、2、3日かかることもあるので悩ましいです。
乾いたら太めのデザインカッターや彫刻刀で修正。
足りない部分には更に粘土を足してゆきます。
実はこの作業が一番辛く、部屋中粉まみれ。
イラストレーターといえども、ここらへんの作業はほとんど造形業者です。
長年マスクなしでこれをやっていたせいか、冬になると謎の咳が出る様になったので、
最近はしっかりマスクを着用しております。
足した粘土も乾いたら、紙ヤスリで修正。
あまり全体にきれいにかけすぎると、プラスティック製品の様に
のっぺりしてしまって面白くないので、案配を見てかけています。
やっと着色。
粉まみれから解放されるこの瞬間が一番好き。
他の色の基準になるので、いつも肌色から塗っています。
目をくっきり入れると一気にメリハリがつくので 周囲もそれにあわせて、くっきりさせていきます。
着色完成!
見慣れてしまうと色の感覚がわからなくなるので
着色には最低でも二日以上時間をかけています。
見落とす箇所や、次の日、違和感に気がついたりすることも多いです。
いよいよ撮影です。
これは「医療編」の目次に使用するカットのため、
「前方の医者と看護士の人形にピントをあて、後方の介護士の人形をぼかしたい」
というのがデザイナーさんの希望する絵柄です。
そのため、前後の奥行きをだいぶ確保して撮影して下さいました。
そういえば、撮影前にカメラマンの方に、人形の名前を聞かれました。
名前が解ると愛着がわいて撮りやすいんだそうです。なんて、愛のある…!
とはいえ、、当の作者はそこまで愛情をかけておらず、いつも名前なんてつけていないのですが、
たまたま今回、看護士の女の子を友人に似せて作ったので、彼女の名前を伝えると、
「はーい、Mちゃ〜ん、こっち向いて〜」 パシャッ!
なんかすごく嬉しかったです。
アングルが少し変わるだけで、表情が一変するので 繰り返し、細かい微調整を試して下さいました。
モニタに表示しながら、カメラマンさんとデザイナーさんが、
ぼかし具合などを検討しています。
細部まで妥協しないデザイナーさんの姿勢、かっこいいです!
目次はこんな仕上がりになりました!
さりげだけれども、心温まるカットです。
そして今度は大事な表紙!
モニタの画面で表紙使用のカットを見比べています。
ほとんど同じカットの様に見えるかもしれませんが 実は右端、水色エプロンの看護士の男性の向きが微妙に違っています。
右の画像は全員がカメラ目線になっていて、左の画像では少し視線をはずしています。
こんな少しの違いですが、表紙の持つ意味はだいぶ変わってくるから重要です。
書店の棚から全員がこっちを見てると、視線が気になってはっと振向くかもしれません。
でももしかしたら、そんなに全員に見られると、ちょっとプレッシャーかもしれません。
気軽に入った服屋さんで、いきなり店員全員に「お探し物でしょうかー!?」みたいな かけ声されたりすると、
つい「結構でございますー」って引き返したくなりますもんね。
ここでは、編集者さんとデザイナーさんの熱い論議が巻き起こりました。
さてさてメイキングは以上です。いかがでしたでしょうか?
こうやって、編集者、デザイナー、カメラマン、制作者の全員が集まって、
あーでもない、こーでもない、と意見を交わし合いながら作った作品は
いつもとても良い仕上がりになります。これは絶対。 だから私は、撮影に立ち会うの、大好きです。
普段ひきこもりなもんだから、人に会えるだけで嬉しいし。
ところで、表紙は最終的にどっちになったのかって?
どっちだっけ?
それは、冒頭の表紙を見て、当ててみて下さい!