『DIME』18年3月号立体イラスト撮影メイキング

今発売中の『DIME』18年3月号に、立体イラスト掲載して頂いています。
投資運用に関する内容なので、興味をお持ちの方はご覧になってみてください。
掲載ページは2色刷りなのですが、元のカラー写真があまりに素晴らしかったので、
編集の方にお願いして写真を頂戴し、掲載許可をいただきました。

こちらです!


…神業! の一言に尽きます。
ついつい見とれてしまいます。


天使を吊り下げつつ、壮大な光の効果や、ドライアイスでの雲の表現等、
無理難題の雨あられなのに、見事に全てクリアして頂きました。

大きな照明機材をあっちにこっちに動かしながら、 時間をかけて丁寧に光の調整をしてくださり、
その上で、 いい塩梅のスモークが撮れるまで、何回もシャッターを切って下さいました。

今までも、いろんなカメラマンさんに凝った撮影をして頂きましたが、
今回ばかりはもうホント、光の魔術師かと思いましたよ。感謝です!

2色刷りの掲載ページは、こんな感じに仕上がっています。


雰囲気は出ているものの、当たり前ですが、限界はありますよね…。

雲はドライアイスで表現しています。

この水の入った状態で、スモークだけを被写体周辺に残しつつ、
写真には写り込まないように、鍋をえっさかえっさか動かすのですが、
私、ついつい急いで動かして、立体に水をぶちまけてしまい…、
すっかり足を引っ張っておりました(幸い立体は無事でした)。

そして、サブカットとして、こんな絵面も撮りました。

ヤバイです(笑)。

こちらは毒にも密にもなり得る仮想通貨の警告を促すカット。
同じ立体とはいえ、見事にハマったので笑いました。

というわけで、ブツ撮りマスターあってこその立体イラストでございます。
素晴らしいカメラマンさんの手にかかれば、こんな世界も作れてしまいます。
皆様も、これだというテーマがあったら、是非挑戦なさってくださいね。

メイキング003〜立体イラスト・病院&介護大事典編〜

メイキングアーカイブPart.2です。 2011年3月31日に発売された『病院&介護大事典』(ダイヤモンド社)表紙立体についてのメイキングです。 こちらは、PC内にテキストデータ初稿と画像データが残っていたので、加筆再編集いたしました。 最初に書いたメイキングなので、わりと真っ当に書きました。 立体イラスト制作の流れが、非常に解りやすい記事になっています。 少し補足すると、制作時期は震災前、ブログを書いたのは震災後2011年4月7日です。 冒頭で触れている「蝋人形」というのは、松島の蝋人形館で被災、破損した人形修復業務に関わったことに関する言及です。

それではどうぞ!


さてさて、あまり蝋人形のことばっかり書いていると 何屋さんだかわからなくなってしまいますね。 本業の立体イラストに戻ります。

週刊ダイヤモンド特別編集「病院&介護大事典」書店で発売中!


表紙立体イラストを制作しました。 今回は、こちらのメイキングをご披露いたします。

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基本、手のひらサイズ。
アーチスタフォルモという、天然の石から作った石塑粘土を使っています。
こねこねしてるうちに3〜6時間程でここら辺まで成形します。

いろんな型のヘラを使います。 頭に差している針金は首を支えるためのもので、
ずっと入れておくと錆びてしまうので、乾いて固定したあとはひっこ抜きます。
(これ、数日でも錆びるので最近は竹串を使っています)

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一番良く使うヘラ。これがなければ廃業するしかない大事な大事なヘラ。

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だいたいの形が出来ましたので、一旦乾かします。

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暑い季節、乾燥している季節、暖房をつけている季節は、乾きも早い。
梅雨時は一番乾きにくく、2、3日かかることもあるので悩ましいです。

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乾いたら太めのデザインカッターや彫刻刀で修正。
足りない部分には更に粘土を足してゆきます。

実はこの作業が一番辛く、部屋中粉まみれ。
イラストレーターといえども、ここらへんの作業はほとんど造形業者です。
長年マスクなしでこれをやっていたせいか、冬になると謎の咳が出る様になったので、
最近はしっかりマスクを着用しております。

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足した粘土も乾いたら、紙ヤスリで修正。
あまり全体にきれいにかけすぎると、プラスティック製品の様に
のっぺりしてしまって面白くないので、案配を見てかけています。

やっと着色。
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粉まみれから解放されるこの瞬間が一番好き。
他の色の基準になるので、いつも肌色から塗っています。

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最初はざっくりと。

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どんどん色を重ねて行きます。

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他の人形も同時進行。

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目をくっきり入れると一気にメリハリがつくので 周囲もそれにあわせて、くっきりさせていきます。

着色完成!
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見慣れてしまうと色の感覚がわからなくなるので
着色には最低でも二日以上時間をかけています。
見落とす箇所や、次の日、違和感に気がついたりすることも多いです。

いよいよ撮影です。

これは「医療編」の目次に使用するカットのため、
「前方の医者と看護士の人形にピントをあて、後方の介護士の人形をぼかしたい」
というのがデザイナーさんの希望する絵柄です。
そのため、前後の奥行きをだいぶ確保して撮影して下さいました。
そういえば、撮影前にカメラマンの方に、人形の名前を聞かれました。
名前が解ると愛着がわいて撮りやすいんだそうです。なんて、愛のある…!
とはいえ、、当の作者はそこまで愛情をかけておらず、いつも名前なんてつけていないのですが、
たまたま今回、看護士の女の子を友人に似せて作ったので、彼女の名前を伝えると、
「はーい、Mちゃ〜ん、こっち向いて〜」 パシャッ!
なんかすごく嬉しかったです。


アングルが少し変わるだけで、表情が一変するので 繰り返し、細かい微調整を試して下さいました。


モニタに表示しながら、カメラマンさんとデザイナーさんが、
ぼかし具合などを検討しています。
細部まで妥協しないデザイナーさんの姿勢、かっこいいです!

目次はこんな仕上がりになりました!

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さりげだけれども、心温まるカットです。

そして今度は大事な表紙!


モニタの画面で表紙使用のカットを見比べています。
ほとんど同じカットの様に見えるかもしれませんが 実は右端、水色エプロンの看護士の男性の向きが微妙に違っています。
右の画像は全員がカメラ目線になっていて、左の画像では少し視線をはずしています。
こんな少しの違いですが、表紙の持つ意味はだいぶ変わってくるから重要です。
書店の棚から全員がこっちを見てると、視線が気になってはっと振向くかもしれません。
でももしかしたら、そんなに全員に見られると、ちょっとプレッシャーかもしれません。
気軽に入った服屋さんで、いきなり店員全員に「お探し物でしょうかー!?」みたいな かけ声されたりすると、
つい「結構でございますー」って引き返したくなりますもんね。
ここでは、編集者さんとデザイナーさんの熱い論議が巻き起こりました。

さてさてメイキングは以上です。いかがでしたでしょうか?
こうやって、編集者、デザイナー、カメラマン、制作者の全員が集まって、
あーでもない、こーでもない、と意見を交わし合いながら作った作品は
いつもとても良い仕上がりになります。これは絶対。 だから私は、撮影に立ち会うの、大好きです。
普段ひきこもりなもんだから、人に会えるだけで嬉しいし。

ところで、表紙は最終的にどっちになったのかって?

どっちだっけ?
それは、冒頭の表紙を見て、当ててみて下さい! 保存 保存

メイキング002~湯煙旅情編~

昨年、サーバの移転でブログ部分だけうっかり移転し忘れまして、5年分まるまる消えちゃったんです。
確かにどうあがいてもこちらのミスなのですが、それにしたって、同じ会社でちょっとランクの高いサーバに
変更し(てさしあげ)た!のに、「消えました」「無理です」と涼しげな声で言われたら、悔しいじゃないですか。
「たかだか5日ですよ!どっかにデータないんかい〜!」と言いたくなるのが人情で…。

ないんだそうです。

デジタルに情はありません。情はないけど霊魂はある…?
あの、例の、キャッシュっていう残像みたいな。あれ、なんなんですかね?
幸いネット上に、ほんの一部のキャッシュが残っていたのを友達が見つけてくれて、
だから、少しだけ、テキストデータを拾うことが出来たんです。Kさん、ありがとう!
その中から気に入っていた記事を再掲載しますね。
ネタは少し古いけど、2015年3月14日に書いたメイキングです。

ではどうぞ!


春近し!と思えど、なかなか暖かくならない3月って、
待ち遠しい分だけ、1月2月より余計に寒々しく感じませんか?

寒いです。温泉行きたいです。でも行けないです。
そんな私と同類の皆様に、目だけでも暖まって頂こうかということで、
先月(2015年2月)発売された『にっぽんの図鑑』温泉ジオラマのメイキング、いってみます。

まずはラフ。こんな感じ。
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そして立体が出来ました!
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って、すっ飛び過ぎ!何もメイキングになっていない!

いや良いんです。
今回は蝋流しのメイキングを書こうと思っているのです。
蝋を流すと、人形が動かなくなくなってしまうので、
この段階で、人形の向き等を編集さんに確認して頂きました。
赤い線は、本のノドの位置です。

しかし、お湯がないと見てるだけで寒々しいですね…。
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かわいそうなので、とっとと蝋を流しましょう。

まずはお湯の色を決めます。 こちらはテスト。
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奥にあるのは、川に使った蝋で、緑の絵の具を混ぜています。
温泉部分は、もう少し青っぽい方が良いので、青や緑の絵の具を調合して作ってみました。

ぽたっと蝋を落とさない様に、しっかりアルミフォイルでカバーして準備完了です! onsen_making05

こんな色に決めました。さー、流しますよ~。
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少ーしづつ、少ーしづつ、お湯が入ります。
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しかし、この黒々とした髪の毛は私じゃありません。
うちには蝋の魔術師がおりまして、私は信用されていないので、やらせてくれませんでした。

足湯状態。まだ寒々しい。。
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やっとお腹まで浸かって来た! ほっと一息♪
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良かったー。もう見てるだけでお腹こわしそうでしたよ。
しかし、指まで丁寧に作って全部隠れちゃうんだから、何やってんでしょうね。
もっと手の抜き方を憶えなければ。

ここらでちょっと様子見です。冷まして固めています。
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冷ますと白くなります。
固まる前の蝋の色も、透明感があって良いんですけどね~。

1時間程経過。
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どれどれ? と見ると、あれ…!?
さっきお腹まで浸かっていたのに、お湯が減っている!!
坊やの膝まで浸かっていたはずなのに!!

はぎゃ~~~!このはじっこ見て下さい!
こんなところまで、蝋が流れちまっている!!!!源泉状態!!!!
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この岩のどこかに1mm以下のミクロの穴があいていた様です…。 onsen_making13
蝋って固形なイメージがあるので、小さな穴なら大丈夫だろうとついタカをくくってしまうのですが
溶かした状態の蝋ってのは、意外に流動性が高くって、小さな穴でも入り込んでしまうのです。
しょうがないので、どこに穴があるのかも解らないけれど、入念に岩肌に粘土を足しました。

これでどうだっ!今度こそ逃さないぞ!
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しかしまた着色しなければ…。地道な作業です。

再着色を施して、いざっ! 再び流しますよー!
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またお腹が暖まってきました。
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ほっ。。
お腹が弱いので、ほんと見てるだけで、辛いんですよ。。

少しづつ白くなって固まってます。待ちの時間。
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周りにボタボタに垂れていますね。アルミカバーしていて良かった♪

今度は流れなかった!
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坊やは肩まで浸かって暖かそうです。 お二人さん、お待たせいたしました~。

これにて完成!!!

なのですが…、まだ何かもの足りなくないですか? いまいち暖かそうに感じないのは何故…??

そうだ! あれだ! 湯煙だ! やはりこれがなければ、温泉じゃないっ!

ということで…、 編集さんに相談したところ、ドライアイスを用意して下さいました。
料理の写真を撮影する時の手法で、鍋物なんかの撮影で大活躍するアレです。

ここからは、撮影スタジオにて。
砕いたドライアイスをザルに入れまして、シャッターを押す直前に素振りの様に動かします。
こちらは、編集さんがとても頑張って下さいました。
TS3W0397
こんな感じで、えいほっえいほっと。
ほっこりした湯煙がGET出来るまで、何回も何回も。
編集さん、本当にお疲れ様でした! ありがとうございました!

苦労の甲斐あって、完成! onsen_making21
この湯煙!ホッカホカです!暖かそうです!お父さんもご満悦!
あーー、今すぐ飛び込みたいっ!

ということで、皆様のご協力を経て、とても良い絵柄が完成しましたよ。感謝感謝。
正真正銘の源泉かけ流し天然温泉ですよ~!
この図鑑を親子で読んで、そうだ、こんな温泉に連れてってやろうか、なんて
どこかのご家庭でお父さんが思い立って、盛り上がってくれたら、もう最高ですね。

この温泉はですね、野趣溢れる川沿いの温泉というご依頼だったので、
ずっと前に友達と行った静岡の大瀧温泉を思い出して作りました。
あちらには滝もありましたけどね。
楽しかったな~。また行きたいな~。
ま、しばらくは、スーパー銭湯で我慢しますわっ。 保存